ラズとの邂逅
セシルは長い眠りについていた。
真っ暗な洞窟の中で、魔法の力を使い、人々からは認識できない存在になって眠りについていた。人よりも長寿とはいえ、魔物とて不死の存在ではない。仮死状態にしておかなければ、千年前後も生きながらえることは出来ない。
あれから何年間、いや、千年近く、眠りについていたであろうか。どちらにせよ、彼には起きている理由もなかった。守るべき存在は既に居ないのだから。ただ、一つ、守るべき約束がある。
そして、約束を守る時が来た。千年の月日が流れ、彼の眠りの魔法は解け、再びセシルは活動を再開する。
ただ、目覚めてみたら、妙な事があった。青い結晶は見つからないように魔法をかけて、自らの近くに置いていたはずであったのだが、それが存在しない。セシルは慌てた様に周りを見渡すが、それはどこにも無い。
だが、青い結晶のフリーエネルギーを感じる事はできた。それは、膨大なものになっていた。青い結晶は方角的にはリーナが最後を迎えた場所の辺りにある様に思えた。
「誰かが持ち去ったのか? 面倒なことになりそうだな」
セシルが呟くと、指定の場所を思い浮かべ、移動の魔法を使う。セシルの身体が白く光りだすと、彼の姿が洞窟から消える。
「何だ。こりゃ? 光の中から人形が?」
移動した瞬間に声が聞こえる。どうやら、人に見つかってしまったようだ。このソマリナ星にも人間が生まれたのかもしれない。
セシルは起き上がり、目を開けると、そこには青い髪をしたリーナに良く似た人間と、猫の様な生物が存在していた。
リーナに良く似た人間の方から多大なエネルギーを感じた。しかも、彼には、どこか颯真の面影もある様な気がした。この人間が青い結晶を持っているのだろうか。しかし、彼に青い結晶を聞いても反応が薄い。しかし、この感じるエネルギー量は、この青年が青い結晶を持っている事を証明していた。
そこで、セシルは宇宙船が完成した日に、リーナが颯真に青い結晶への願いを話していた事を思い出す。それは、家族が欲しいと言っていた気がした。その思いをリーナは常に持っていた様に思える。
確証は持てない。間違っているのかもしれない。ただ、もしかすると、青い結晶はリーナの深層心理から、その願いを受け取ったのではないか。そのため、リーナ達に似た人間、つまりは、彼女達の子供のような存在に変化したのか、生み出したのかもしれない。
しかし、青い結晶は単独では魔法を使えないはずだ。グレンが持つ赤い結晶を利用して魔法が使われたと言うのだろうか。
どちらにせよ、もし、リーナと颯真の子に近しい存在であれば、幸せになってもらいたい。彼女達が叶えられなかった幸せを彼には叶えてもらいたい。
しかし、セシルは彼女の願いを叶えなければならない。この青年を。いや、青い結晶を地球に持ち帰らなければならないのだ。
ただ、青い結晶からフリーエネルギーの存在が失われ場合に、この青年はどうなるのだろうか。もしかして・・・。